地域文化の旅人(まなびびと)

旅先の地域文化の魅力を発見する

大阪・関西万国博覧会が発信しているメッセージを受け止める旅(6)

 パソナ館の展示は、古代の化石の展示から近未来の人間生活まで、生命史の視点で展開していました。そして、パソナ館が発信しようとしているメッセージとはどのようなものが分かったのは、出口直前での約10立体映像ショーでした。それは、AIに依存する生活は夢のような便利で、快適で、豊かな生活を提供するだけでなく、人類の滅亡をももたらしかねない危機を孕んでいるという物語だったのです。それはAIが人類滅亡をもたらしかねない誤作動を起こすという危機です。パソナ館の立体映像ショーでは、AIにどっぷりつかってしまった未来の人類社会で、AIが故障し、人類全体を太陽に向かって誘引するという事態を引き起こしてしまうのです。

 この人類の危機を救ったのが鉄腕アトムです。アトムは、自分の命を懸けて、誤作動を起こしたAIに体当たりし、見事人類の危機を救うのです。その結果、地球上の人々の意識変化が生まれ、争いごとさけ、人類全体で協力・協働しようとすることから生まれる共同意思によって、命を育む自然環境や人間生活を管理運営して行くという社会意識が芽生え発展して行くだろうというエンドで物語が締めくくられます。人類全体による協力・協働世界の実現、これがパソナ館の発信しようとしていたメッセージだったのですね。そうしたパソナ館が生命史の物語によって発信しようとしていたメッセージは、現在人類が直面している危機をどのように乗り越えて行けばよいかという視点で見た時、卓越したものではないかと感じるのです。

 今回の最終日、帰途に就かなければならない日は、大阪モノレールで前回の大阪万博の会場であった万博記念公園を訪れました。前回の万博の象徴であった太陽の塔に遭うためと国立民族学博物館を訪れるためでした。後者の訪問は、今回の大阪・関西万博の旅で、多くの地域および国のパビリオンに入館したことで、あらためて各地域や国々の生活文化に魅了されたからです。ただ万博のパビリオンでは、各地域および国々のパビリオンでは、生活文化史の展示では、それぞれの地域や国々の民間信仰がそれぞれの地域や国々生活文化にどのような影響を与えていたのか、よく分からなかったからです。国立民族学博物館へ行けば少しでも補えると思ったのです。それにしても太陽の塔を見ると、前回の万博のエネルギー溢れる活気を感じるとともに、国際的な万博が、大阪だけで開催され続けているのかという疑問が頭に浮かんでくるのです。きっと大阪の地域性としてエネルギッシュなお祭りが好きなんだと思ったりしています。

                

 ただ残念なことでしたが、帰途の飛行機の時間の関係で、国立民族学博物館訪問時間が短くなり、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、各アジア、そして日本各民族ごとの民俗文化を展示しているコーナーを急いで回るだけに終わってしまったことです。ただ、それだけでも、この国立民族学博物館では、民間信仰を含め、さまざまな視点から民俗文化を学べるということが分かりました。あらためて、ぜひまた訪問したいと思いました。今回の万博の旅も、ほんの短いものでしたが、十分に楽しめました。

            

 また、今までの旅日記のスタイルは今回で中止しようと思います。それは、この日記の旅による学びこそこれからの教育の形は旅を通した学びとなるのではと考えたことによります。これからの教育は教師から指示を受けて学ぶのではなく、学習者こそが主人公になって、何のために何を学ぶのか、そのためにどこに行って、どんな自然、地域文化、そして誰に出会って学ぶのかが大事になるのではないかと思うのです。また旅による学びでは、旅先での相互交流・相互学習が重要な学びの形となるのではないかと思います。学ぶ内容もかなり広いものとなるのではないでしょうか。観光旅行によって日常生活を離れ、楽しむ、新しいものに出会って好奇心を満たす、ゆったりすることで日ごろの疲れを癒すということもこれからは重要な学びとなります。信仰のためパワースポット巡りの旅をするなども重要な学びの旅となるのではないでしょう。各地の博物館、水族館、図書館、そして美術館などを訪れる旅も豊かな学びを楽しむことができるのではないでしょうか。これから自分がどのように生きたらよいのか、また旅先の地に魅了される、アイデンティティを持つようになることで、その地が自分にとって一番居心地のよい自分の居場所であることに気づき移住するということも旅による学びの醍醐味なのではないかと感じます。これらの考えは、沖縄県西表島福島県昭和村で、地域の方々や移住者の方々に出会うことで学んだものです。両地域の出会った方々に心から感謝致します。

 そうした旅による学びの種子からすると、これまでの旅日記のスタイルは、非常に視野の狭いものだったように感じるのです。これからは、再開までに少し時間がかかりますが、新しいスタイルの旅による学び日記に挑戦して行こうと思います。

 

                          地域文化の旅人(ひ・つ)